皆さま、レチノイドのスキンケアを使ったことはありますか?
instagramでこの質問したら…
何と使用率80%!
私のinstagramに興味を持ってくださるということは、美容に対する感度が高い方ということでしょうし、多いだろうとは予想していましたが、それでも想像以上に多かったです。
数年前に質問したことあるけれど、確か半数くらいだったと思います。
レチノール入りスキンケアがここ数年でドンドン発売されていて、認知度も高くなっているなぁとビタミンA好きとしては嬉しい限りです♪
レチノイドとは? その種類について
レチノイドとは、ビタミンAやビタミンA誘導体をまとめた総称です。
一番よく名前を聞くレチノイドはレチノールでしょうか。
他にもレチノイン酸(トレチノイン)、レチナール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど沢山の種類のレチノイドがあります。
下の図を見ていきましょう。
生理活性が一番大きいのが右端のレチノイン酸(トレチノイン)で、シミを薄くする効果などは一番分かりやすいです。
ゼオスキンの治療プログラム(セラピューティック)で使われるのも、このトレチノインになります。
ゼオスキンと言えば『皮むけ』『赤み』『ひりつき』のダウンタイムで知られていますが、それらはレチノイド反応と言われるトレチノインによる肌への刺激症状です。
左端のパルミチン酸レチノールは、生理活性がトレチノインに比べると小さく、シミを薄くする効果なども弱くなります。しかし、レチノイド反応も少ないので、『皮むけ』『赤み』『ひりつき』などを気にすることなく使用でき、日常使い向けと言えるでしょう。
レチノイドで、しわ・たるみを改善できるの?
レチノイド反応を出すとクレームに繋がりやすいため、市販品には配合しづらかったレチノイドですが…
最近は低濃度ながらもレチノールを配合したクリームが、デパコスやドラッグストアコスメにも見られるようになりました。レチノール製品を目にする機会が増えるにつれ、レチノイドがしわ、たるみに効果的と言うことも広く認知されるようになってきて嬉しいです。
しかし、しわ、たるみに効くとひと口に言っても、その適応はちりめんじわなどの細かいシワです。
それ以上の深いシワやたるみなどに対しては効果は期待できませんので、それを改善するためにはヒアルロン酸注入やボトックスなど、他の治療法が必要になります。
当院はヒアルロン酸やボトックスによる注入治療に力を入れているクリニックです。
しわ・たるみ治療にご興味ありましたら
も併せてご覧ください。
では、ゼオスキンで目の下のちりめんじわが改善した症例をお見せしますね。
この方は70代女性で、18週間トレチノインを使用されました。
しみも薄くなっていますが、目の下のちりめんじわが明らかに良くなりました。
トレチノインを使用すると、表皮ではヒアルロン酸の沈着が促され、真皮乳頭層ではコラーゲン産生を促進する働きもあり、いわゆる『皮膚のハリ』を取り戻すような効果があリます。
このようにトレチノインなどレチノイドには、皮膚表層のしわ・たるみを改善する効果が見込まれます。さらに、質感、色ツヤの改善なども実感される方が多いです。
レチノイドはしわ・たるみの予防もできるの?
すでに出来ているちりめんじわを改善する効果については先ほど触れましたが、実はレチノイドにはしわ・たるみの予防効果もあると言われています。
光老化でシワが出来るのは、紫外線照射によりコラーゲンやエラスチンを分解する酵素である真皮マトリックスメタプロテアーゼ(MMP)の発現が誘導されるからです。
(医学のあゆみ248巻8号よりお借りしました。)
紫外線により、しわ・たるみが出来る仕組みを簡潔にまとめると…
紫外線にあたる
↓
MMP発現が誘導
↓
コラーゲンやエラスチンが分解
↓
しわ・たるみ
レチノイドは、これらのMMPを抑制することが示されました。
このようにレチノイドはMMPを抑制することを通じて、しわ・たるみの予防をしてくれています。
トレチノインは1990年代に米国FDAで抗老化目的で認可されて以降、広く世界で使用されているしわ・たるみの改善&予防薬です。
私たちは幼少期から沢山の日光を浴びていますので、10代から光老化の兆候が出始めています。しわ・たるみの改善のみならず、予防も可能なレチノイドを10代20代から上手く取り入れていくと、しわ・たるみの発生年齢を大きく遅らせることも可能かもしれません。
すでにしわ・たるみのお悩みが出ている方にもレチノイドは良く効きますし、まだしわ・たるみが出ていない方も予防効果を大いに期待できるのではないでしょうか。
このように優秀なレチノイドですが、レチノイド反応の出方には個人差があり、使用量や頻度・種類など調整が難しい場合もあります。レチノイド反応で困られたら、必ず診察を受けて医師からアドバイスをもらって上手に取り入れてくださいね。
また、しわ・たるみを大きく改善したい場合は、他の治療法と組み合わせた方が良いこともあります。しわ・たるみ治療についてはこちらもご覧くださいませ。