たるみ、しわの改善になくてはならないヒアルロン酸ですが、注意すべき合併症はあります。
この合併症について今日はお話しますね。
まず、当院で使用しているヒアルロン酸製剤はアラガンジャパンのジュビダームビスタシリーズのみです。
その中でもボリューマXC、ボリフトXC、ボルベラXCの3種類が滑らかさと持続性の点で優れているので、これらのみで施術しています。
全て厚生労働省の認可を受けている製剤になります。
万一副作用が発生した時の患者様への救済措置などを考えても、特別な理由がない限りは厚生労働省の認可製剤を使う方が良いと思っています。
合併症として最も多いのは内出血でしょう。
これは針を使った施術である限りは毛細血管の損傷を起こし得ますので、完全にゼロには出来ません。ただ後述するカニューレ(鈍針)を用いることにより減らすことは可能です。
内出血は消えるまでに2週間程度かかりますが、施術翌日からはメイクも出来ますし、そこまで困ることはないと思います。
次に多いのが凹凸でしょうか。
当院で用いている製剤の中で、ボリューマXCは非常にリフトアップ力が高く、たるみ改善にとても役立つのですが、皮膚の薄い箇所への注入の場合、凹凸が1週間ほど出ることがございます。
額や口周りで起こりやすいかと思います。
その際は施術後2、3日以内にマッサージをすれば目立たなくなりますし、心配な方はより馴染みの良い(しかし、リフトアップ力は劣る)ボリフトXCを用いますので、事前にご相談くださいませ。
合併症として頻度は稀ながら、重篤なのが血流障害による皮膚壊死や失明です。
これは動脈内にヒアルロン酸を注入して血流が途絶えたり、動脈周囲にヒアルロン酸を大量に注入することで動脈を押しつぶしてしまったり、という理由で生じます。
この重篤な合併症を防ぐには、動脈の走行を熟知しているヒアルロン酸注入の経験が豊富な医師に施術してもらうこと。
合併症について事前に説明をしてくれる医師のもとで治療を受けること。
合併症を起こり得ることとして捉えている医師は、常に合併症を起こさないようにと思っているので、説明し忘れるということは考えにくいです。(私も何年やっても万一のことがないか常にドキドキします。)
注入時には逆血の確認を怠らないこと。
逆血とは、針先が血管内に入っている場合、陰圧をかけるとシリンジ内に血液が戻ってくることを指します。
危険な注入部位には適宜カニューレ(鈍針)を用いること。カニューレは先が丸くなっており、動脈を突き破るリスクが低くなります。
でも、これだけ気をつけても絶対はありません。
ですので、万一血流障害が疑われたら、即座にヒアルロン酸溶解の対処が取れるよう、ヒアルロニダーゼをいう薬を常備しています。
また帰宅後に異変があったときのために、ヒアルロン酸注入後の患者様には、夜間でも私に連絡できるよう電話番号をお渡ししています。(一生鳴らないよう祈っています)
偉そうに書きましたが、ヒアルロン酸注入に関わるほとんどの医師が、当たり前に気をつけていることだと思います。
これからヒアルロン酸注入を受けようかと検討されている方は、信頼できる医師を見つけ、不安な点はぜひしっかり聞いて、納得されてからリラックスしてお受けくださいね。
怖いことをいっぱい書きましたが、とても良い治療ですので、安心してお受けいただけるよう、できうる限りの準備をしてお待ちしています。